こんにちは。
交通事故外傷担当の藤田です。
昨日は雨に濡れた路面の危険性についてお話ししました。
今回は濡れた路面への対処法です。
結論から言ってしまうと「”急”がつく操作は避ける」ということです。
”急”がつく操作とは「急発進」「急ハンドル」「急ブレーキ」の三つです。
昨日お話した通り、自動車はタイヤと路面の摩擦力によってコントロールされています。
その摩擦力よりも強い力がタイヤと路面の間にかかるとタイヤと路面が滑ってしまい
自動車はコントロールを失ってしまうのです。
逆にタイヤと路面の間にかかる力を小さくすればタイヤは滑りにくくなり
自動車のコントロールは失われにくくなるわけです。
では、どうすればタイヤと路面の間にかかる力を小さくすることができるのか?
それは「長い時間をかけて操作する」ということです。
タイヤと路面の間にかかる力は「タイヤが路面にかける力」と「力をかけている時間」の
掛け算によって決まります。
弱い力でも長い時間かけ続ければ、結果として大きな力を路面に伝えられることができる。
ということです。
スピードが出ている状態から短い距離で自動車を止めようとして強いブレーキをかけてしまうと
摩擦の限界を超えてしまってタイヤが滑りだしてしまいます。
逆に弱いブレーキでも長い時間かけ続けてやればタイヤは滑らずに車を止めることができます。
ただし弱いブレーキしかかけられないため、どうしても長い距離が必要になります。
では、滑りやすい路面で短い距離で止まるためにはどうしたらよいのでしょうか?
ポイントは
スピード
大切なのは自動車のスピードです。
ブレーキが効きはじめてから自動車が停止するまでの距離(制動距離といいます)はスピードによって大きく前後します。
普通自動車で時速40キロの場合の制動距離は11mですが、2倍の時速80キロでの制動距離は
54mまで長くなってしまうのです。
つまり、滑りやすい濡れた路面の上を速いスピードで走っている時に
短い距離で止まらなければいけない状況に陥った時
選択肢は下の2つになります。
①強いブレーキをかける → タイヤが滑ってコントロールできなくなる。
②弱いブレーキをかける → 止まりきれなくてぶつかってしまう。
究極に嫌な二択を迫られることになります。
ここで必要になるのは第3の選択です。
③走るスピードを落とす → 弱いブレーキでも短く止まることができる。
つまり速いスピードで走っている時に危険なものを発見した時には
「手遅れ」になっていることが多いのです。
それにカーブや交差点の右左折などの時にかかる遠心力もスピードによって大きく変化します。
遠心力がタイヤと路面の摩擦力を超えてしまえば、タイヤは路面の上を滑りだしてしまい
自動車のコントロールは失われるのです。
スピードが2倍になれば遠心力は4倍に増え、スピードが3倍になれば
遠心力は9倍にまで大きくなっていくのです。
逆にスピードを1/2に減らせば遠心力は1/4に減り
スピードが1/3に減れば遠心力は1/9にまで減らすことができます。
滑りやすい条件の時はスピードを抑えて走ること。
「急発進」をせずに緩やかにスピードを上げ、「急ハンドル」を切ることなく
穏やかにカーブや交差点を通行し、
「急ブレーキ」に頼ることがないようにスピードを控えめに運転すること。
それによって安全な運転ができるようになります。
雨が降っている時は少しスピードを控えて運転すること。
その心がけだけでも違いは感じられると思います。
皆さんの参考となれば幸いと思います。